USCPA(米国公認会計士)の試験には4科目あり、1科目目の合格から1年半以内に全科目合格しないと、その1科目目の合格が失効してしまう「expire」という制度があります。
そのため、あらかじめ各科目の難易度や特徴、ボリュームなどを知っておくことは全科目合格までのスケジューリングにおいてとっても重要です。
そこで、今回は科目別の難易度を特徴やボリュームなど踏まえて解説していきます。
USCPAの資格自体の難易度はこちら
目次
USCPA(米国公認会計士)の4科目ってナニ?
USCPA(米国公認会計士)試験の4科目は以下の通りです。
- FAR(Financial Accounting and Reporting )…財務会計
- BEC(Business Environment and Concepts)…企業経営環境&経営概念
- AUD(AUDiting and attestation)…監査&証明業務
- REG(REGulation and business law)…諸法規
さて、ここから各科目の難易度と特徴を解説していきますが、
難易度を以下のような指標で判定(10段階)することとしました。
- ボリューム:範囲の広さ。主にテキストのページ数に比例。
- 理解度:論点自体の理解難易度や問われる論点の細かさ。
- 英語力:問題文の長さや読解難易度など突破に必要な英語力。
一番辛かった科目の点数を10とし、それを基に他の科目の点数を相対的に付けるという感じでやっていきたいと思います。
また、完全に個人的なものさしで測ってますので悪しからず。
FAR(Financial Accounting and Reporting)
━財務会計及び公会計
━財務会計及び公会計
出典:アビタス
ひつじ
日本の公認会計士の財務会計論、簿記検定の商業簿記ですね。
ちなみに合格率が4科目中一番低いんだとよ(2018年3Q:48.85%)
いぬ
4科目の中でもトップクラスのボリュームです。
税効果会計やPension(退職給付会計)など結構重めのトピックが終わった後に現れる連結会計というラスボス。
また、出題割合は20%だが範囲が広すぎる公会計(政府会計)。
私がTACで受講していた時の話ですが、連結会計と公会計でそれぞれテキストが1冊ずつあり、FAR全体では計5冊もありました。
よく「簿記1.5級」と表現されますが、遠からずという印象です。
私は簿記2級を持っていたので割とキャッチアップしやすい所もありましたが、それでも税効果会計や退職給付会計、キャッシュ・フロー計算書、連結会計あたりは論点難易度的に高いので、それなりの理解度が必要です。
会計用語と数値が問題文の大半を占めるので、英語が苦手な方でも数字をガチャガチャやれば正解にたどり着ける、ということも。
4科目終わって振り返ると、英語という面で言えば一番易しかったです。
また会計の基礎ということで最初に取り組む科目としては最適だと思います。
FARのより詳細な内容はこちら
USCPA:FARの概要・勉強方法・攻略のための5つのポイント
BEC(Business Environment and Concepts)
━企業経営環境&経営概念
━企業経営環境&経営概念
出典:アビタス
ひつじ
BECの中には主に4分野ありまして下のような構成です。
そして唯一WC(Written Comunication)という論述問題があるのが特徴や。
このWCに苦しめられ、3回も落ちたんや…
いぬ
- Managerial Accounting&Financial Management(管理会計&ファイナンス)
- Economics(経済学)
- Corporate governance(企業統治)
- Information Technology(IT)
4科目の中ではAUDと並びボリューム少なめで、上で紹介した通り4分野あるものの、Eco(経済学)、CG(企業統治)、ITはテキスト範囲が少ないです。
TAC2016年のCGのテキストは100ページ程しかありません。
FARの膨大なテキスト量に比べると少なくて嬉しく感じるでしょう。
ただ4分野あるのでAUDよりかは多いですね。
全体的に広く浅くです。
4分野を集約させている科目柄、さほど深いところは出ないのでしょう。
ただCGは範囲は狭いですが、割と深いところまで問われます。
特にInternal Cntrol(内部統制)。
そして、COSO(内部統制を有効にするためのフレームワーク)。
COSOの構成要素とその要素内の原則についてはむちゃくちゃ出ます。
私が受験した時はMA&FinとCGでMCの8割くらい占めてるような感じでした。
不正が多発するこのご時世、CGが重視されているからなのでしょうか。
問題文がかなり長かったり、読解に苦しむようなものはさほどありません。
問題はWC、英作文です。
「在庫評価方法を〇〇から△△に変えようと思うんだが、どういう影響がある?」
「ITシステムを導入する時のリスクはどんなものがあるんだい?」
といった問題提起がされ、その意見を書くという問題です。
日本語でも結構難しいですよね。それを英語で書けって言うんです。
英語苦手な方は相当対策しないと厳しいと思います。私がそうでした。
配点は15%ですが、決して侮ってはいけません。
BEC自体は全科目で一番合格率が高い(2018年3Q:60.17%)のですが、
WCのせいで日本人合格率は30%を切るとも言われています。
BECのより詳細な内容はこちら
USCPA:BECの概要・勉強方法・攻略のための5つのポイント
AUD(AUDiting and attestation)
━監査&証明業務
━監査&証明業務
出典:アビタス
ひつじ
日本の公認会計士試験でいう「監査論」ですね。
財務諸表が確からしいと結論付けるために
・どのようなことが証明できれば良いか、
・それにはどのような手続きをすべきか、
・手続き範囲を決めるためにどのようにリスクを把握するか
など監査の考え方やプロセス、監査報告書など監査全般を学びます。
いぬ
4科目の中で最もボリュームが少ないです。
テキストも2冊だけでした。
ボリュームは少ないが、深い理解が必要な科目です。
特に意識したいのが、監査計画・リスク評価・手続きといった各フェーズでの目的とアクション。
どのフェーズで、どのような事を、どういう目的でしているのか。
一貫した論理的な考え方をしっかりと理解することがAUD攻略のカギです。
また、監査報告書も大いに出題されるトピックで、
監査意見の種類によって報告書フォーマットのどの部分が変わるのか、
どういう事象があるとどういう意見になるのか等、
状況によっての場合分けをしっかりと把握しておく必要があります。
この理解度の深さがUSCPA受験生内でAUDが一番難しいとか点数が伸びにくいとか言われる所以かも知れません。
英文が結構難しく、読解に苦しんだ記憶です。
なんというか、単調な文章が全然なく読みづらいという印象です。
また、監査としての「論理的な考え方」が出題の根本にあるので色んな表現で問われることが結構あるなと感じました。
また、TBS(Task Based Simulation)問題で検出されたリスクとそれに関わる監査手続きを組み合わせる問題があり、選択肢が10個ずつあったりと、英文ボリュームのある問題もありました。
AUDのより詳細な内容はこちら
USCPA:AUDの概要・勉強方法・攻略のための5つのポイント
REG(REGulation and business law)
━諸法規
━諸法規
出典:アビタス
ひつじ
2分野あってTAX(税法)とBL(民法)があります。
日本の公認会計士試験でいう「租税法」ですね。
BLは契約や連帯債務、代理人、詐欺防止法、破産法、UCC(Uniform Commercial Code)という商取引に関する法律など。
諸法規というだけあって法律ばっかで、多分受験生で一番嫌われてる科目やな。
いぬ
ボリューム半端ないです。
TACのテキストはREGだけ文字サイズが若干小さかったです。笑
法規という科目柄、量は仕方ないですね。
文字の羅列との格闘です。
理解はほとんど要りません。暗記です。
覚えているか、いないか、それだけです。笑
ただ実際の申告書フォームを使った問題が出るため、必要な知識の細かさという意味では深さはあります。
英文がめちゃくちゃ長いし、専門用語がめちゃくちゃ多い。
読解は単語さえ分かればそこまで難しくはありません。
ただ単語が半端ないです。
会計用語や法律用語の高ボリュームに加え、
医療費控除とかあるので医療に関する専門単語も出ます。
Removal of appendix(盲腸の切除)、liposuction(脂肪吸引)。
「知るかーっ」って感じですよね。
まぁこの辺は出そうなやつを最低限覚えて立ち向かうしかないですね。
REGのより詳細な内容はこちら
USCPA:FARの概要・勉強方法・攻略のための5つのポイント
まとめ
FAR | BEC | AUD | REG | |
---|---|---|---|---|
ボリューム | 10 | 6 | 5 | 10 |
理解度 | 8 | 5 | 10 | 6 |
英語力 | 5 | 6(10) | 9 | 6 |
FARとREGは共にボリューム満点。甲乙付け難かったです。
FARは範囲の広さ、REGは細かさという面でボリュームがある感じですね。
一方、BECとAUDはボリュームは少ないものの、理解力や英語力が必要という特徴があります。
学習計画する上で少しでも参考になればと思います。
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